第1章

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明日からの休日が過ぎたら、すぐに学校へ行かなければならない。 必要なのは、今まで培ってきた『学力』に長い時間を一緒に過ごす『友達』も無くしてはならない。 それから彼女が大切にしている『ピアノ』は彼女の母親が幼い頃に買ったもので、教えてもらって一緒に弾くのが好きなのだと言っていた。 いっそこれも家族の内に、家族との思い出も含んでいるのだからまとめて欲しい物だといつも思う。 『親友』が別枠であるのは実は僕への嫌がらせとかじゃないだろうなと、皆目見当もつかないこの状態を作り上げている誰かへの恨みが沸き上がる。 うっかり忘れてしまう所だった、端の方へ飛ばされているそのピースを手に取った。 次はどれだ。 自分がするんじゃくて、試合を見るのが好きと言っていた『テニス』中にはきっとルールとか選手の名前とかが詰まっているんだろう。 それからたまに作ってくれる『パウンドケーキ』が好きだ。これぐらいしか作った事が無いと言うけれど、小学生の頃に覚えて、年々細かい所に変化を加え続けているあれは、結構なレベルだと思う。 誕生日とかバレンタインとか、いつもプレゼントしてくれていた。次にもきっと、それを貰えるのは僕だと信じてはめ込む。 彼女を構成するものを、出来る限り残したい。 これら全部が組み合わさって、今の彼女があるんだから。 好きなものや得意な事。 明日彼女が困らないように。 ……いつも、いつもそうだ。
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