1話

8/8
前へ
/85ページ
次へ
「あの人か…久美子ちゃん、山田さんなら昨日退院したよ」 「えっ嘘ぉ…いつの間に」 「本当だよ。だからお前は帰れ」 「せっかくこれ持って来たのに」 見舞い品のお菓子だった。 「食い物か?」 「あっそーだ。これ司馬チャンにあげる」 「え…」 「んじゃーね」 久美子は一方的にお菓子の箱を 司馬に渡して去って行く。 「ちょっと困るよ」 司馬は呆然と立っているが 雅也に言われる。 「とりあえず、貰っておけば。後で食おう」 「おい。二人とも、そろそろ会議が始まる時間だ」 佐藤、雅也、司馬の三人は 歩き出した。 一方で久美子は地下鉄駅へ向かいながら 今日初めて会った司馬の事を考えていたのだった。
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加