第1章

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でもある日健太に出会える日を見つけてから私の人生は変わった。それは偶然だった。健太が生きていれば参加していただろう運動会を呆然と見ていたらいつの間にか夜になっていた。我に返ったわたしは、もう帰ろうと思ったその瞬間信じられないものを見た。校庭のトラックに健太がいる。夜、観客の誰もいない会場でかけっこをしているのだ。 それ以来私は、毎年運動会の終わった夜この小学校にやってきて健太の応援をしている。私の唯一の生きがいだ。走り終えてしまうと健太は消えてしまうが悲しくはない。また来年会えるからだ。永遠の小学3年生として。 それにしても仁志君の足は速い。この10年間健太は一度も勝った事がない。でもいい、来年もあるし、駄目なら再来年もある。 それにしても仁志君は早いな。私が追いかけていったときもすごい逃げ足だった。袋小路に追い込まなければ健太のもとへ送ることはできなかっただろう。仁志君の前世は陸上選手だったかもしれないな......。
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