交わらぬ恋心

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登校時間終了5分前。 教室の外から慌ただしく人が走る音が聞こえてくる。 誰が来たんだろう?二人はそう話をした直後、教室の扉が勢いよく開かれる。 足音の正体は空。 来るやいなや那月に向かい大声を出す。 「なんで置いていくんだよ!那月が来ないから寝坊して危うく電車乗り遅れて遅刻するところじゃねえか!」 前日、二人は一緒に行くと特に約束はしていない。 空のその主張は正確にいえば言いがかりである。 二人は小学生の時も中学生になってからも朝の弱い空の家に那月が早めに家を出て起こしに行き、準備が終わるのを待ってその流れで一緒に登校していた。 だから空は同じ高校生になっても変らずいつも通りに起こしに来ると思っていたのだ。 「……ごめん。明日は迎えに行く」 那月は空の話を前日に聞きたくないと思っていた為に、それが潜在意識として現れたようで、空の事などすっかり忘れていた。 ――置いていくな。か…… しかし、当たり前のように一緒に登校すると思っている空に、那月は嬉しさを感じずにはいられなかった。
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