自惚れからの後悔

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那月の母親、星那(せいな)は、身体が弱くて那月を産んですぐ亡くなってしまった。 有美と星那は親友と呼べる間柄で、父親しかいない那月の事を気にかけて、今も昔も良く家に招いていた。 那月は空と一緒に有美に育てられたと言っても過言では無いだろう。 だけど、那月は空の家の子供ではなく、父親が帰ってくる家がある。 父親から愛情をもらい大切に育ててもらっていると思っているし、父親の事も自宅も大好きであった。 だが四歳位の頃は、お母さんの居ないさみしさは拭いきれなかった那月は、『空の家の子供になりたい』って迎えに来てくれた父親や有美に言い、良く泣いて困らせていた。 丁度その頃、たまたま流れていたドラマで男の子のお嫁さんになったらその家の娘になるって内容を目にする。 これだ!と思った那月は、次に空の家に行った時に二人に会うとすぐに叫ぶよう言ったのだ。 『なつき、そらのおよめさんになる!』 すると、空も言う。 『おぅ!およめさんにもらってやる!』 そのやり取りを見てた有美は思わず吹いて、那月の頭を撫でながら言った。 『結婚は好きな人とするのよ』 『……だいすきだから、だいじょうぶ!』 那月は考えたが、空の事も有美おばさんも大好きだから問題はない。自分は空のお嫁さんになるって決め、保育所の友達や、先生。父親にだってそう言い回っていた。
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