交わらぬ恋心

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「お前勿体ねぇな!なんで……」 「膝を痛めたしね。どのみち選手としても長くない」 「……そう……か……」 部活命の空にとって那月のその選択は信じられないものであったが、那月の言葉で一応納得したようでそれ以上は何も言えずにいた。 那月は二年生の始めに試合中の接触事故により膝を怪我した。 幸い選手生命を絶たれるほどの大事には至らず完治もし、その後の試合も怪我を感じさせない活躍であったが、一度痛めた彼女の膝は疲労を重ねると動きが悪くなると本人は感じていた。 前ほど瞬速な動きが出来ない自覚も。 それでも練習を重ね、それらと上手く付き合えばバレーボールのプロ選手として活躍する事も夢ではない程の実力とセンスが那月にはあった。 県代表になるくらい真剣にやっていた好きなスポーツ。一度はその夢も考えた。 だが那月にとって一番叶えたい未来は、バレーボールの選手として生きていく事ではなくて空と一緒にいること。 その為、バレーボール部がないと知りながらも、ここに来たのだ。
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