126人が本棚に入れています
本棚に追加
/282ページ
*
ホテルで目を覚ますと、あたしは匠に抱きしめられていた。
匠は裸で、あたしを抱きしめていて、優しく髪を撫でてくれている。
「匠…?」
「…目、覚めた?」
「うん…。ここ、ホテル?まだコロンビア?」
「あぁ。明日11時の便で帰るぞ」
匠が優しく言うと、あたしは匠にしがみついた。
「匠…。抱いて…。怖いの。抱いてよ」
そんな弱音なんか吐いたことなかったのに。
死ぬ瞬間を知って、あたしは初めて、生きるってことも死ぬってことも、怖くなった…。
匠はあたしの右の頬を大きな掌で覆い、優しく唇を塞いだ。
「怖くない…。俺がそばに、いる」
「匠…」
匠はキスを止めないままあたしのバスローブを剥ぎ取って、素裸を優しく包み込むように抱きしめてくれると、あたしの上に覆いかぶさった。
あたしもそんな匠の肩に腕を回してギュッと抱きしめた。
最初のコメントを投稿しよう!