129人が本棚に入れています
本棚に追加
*
家に帰って、マンションの部屋の前に行くと、系斗が立っていた。腕を組んで俯いていて、あたしがその前を通ると、
「今回は、一緒に、コロンビアまで同行します。3日後、出発したいと思いますが、出来ますか?」
と言うと、あたしは立ち止まって系斗を見上げた。
「とりあえず日本に?」
「そうです。日本に行って警察委員会に顔を出しましょう」
「あたし、考えがあるんだけど」
あたしが言うと、系斗はあたしをじっと見つめた。
「あたしの友達を3人くらい連れて行くってのはどう?」
あたしが言うと、系斗は驚いて組んでいた腕を解いてあたしの肩を掴むと、
「正気ですか?」
と声を上げた。あたしはため息をついて、
「ねぇ、とにかく、うちに入ってよ。こんなとこじゃ、計画も何もないよ」
と言って系斗の手を肩からどけて、玄関のドアを開けると中に入った。系斗も同じようにため息をついて、ゆっくりと中に入ってくると、背中で鍵をかけてあたしの後に続いた。
最初のコメントを投稿しよう!