第1章 戦火の中の恋人

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* 家に帰って、マンションの部屋の前に行くと、系斗が立っていた。腕を組んで俯いていて、あたしがその前を通ると、 「今回は、一緒に、コロンビアまで同行します。3日後、出発したいと思いますが、出来ますか?」 と言うと、あたしは立ち止まって系斗を見上げた。 「とりあえず日本に?」 「そうです。日本に行って警察委員会に顔を出しましょう」 「あたし、考えがあるんだけど」 あたしが言うと、系斗はあたしをじっと見つめた。 「あたしの友達を3人くらい連れて行くってのはどう?」 あたしが言うと、系斗は驚いて組んでいた腕を解いてあたしの肩を掴むと、 「正気ですか?」 と声を上げた。あたしはため息をついて、 「ねぇ、とにかく、うちに入ってよ。こんなとこじゃ、計画も何もないよ」 と言って系斗の手を肩からどけて、玄関のドアを開けると中に入った。系斗も同じようにため息をついて、ゆっくりと中に入ってくると、背中で鍵をかけてあたしの後に続いた。
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