第1章 戦火の中の恋人

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「コロンビアですよ。まだ内戦だって起こってる。なんでそんな危険なとこに、瑠生と友達まで。絶対に不可能です!」 系斗がそう言ってくるのは、あたしだって分かってる。あたしは冷蔵庫からオレンジジュースのボトルを出して、2つのグラスに注ぐと、1つを系斗に差し出した。 「観光よ。カモフラージュにならない?」 「なりません!」 「系斗と行動するほうが、いかにもって感じで怪しくない?」 「それは…!」 系斗はそう言いかけて、言葉を飲んだ。あたしはニコッと笑って、 「友達にもガードをつけてほしい。別行動はしない。それなら、カモフラージュ出来ると思うんだけど」 あたしがはっきりとそう言うと、系斗はまだ驚いたまま動かない。 しばらくしてから、系斗はやっとグラスを受け取ってくれて、オレンジジュースを一口飲むと、あたしはにっこりと笑って系斗の前のソファーに座った。
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