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そうしてやっとみんなが帰っていくと、匠だけが残ってベッドに腰を下ろしてあたしの肩を抱き寄せた。
「病院にいてくれた方が、ガードは幾分楽なんだけどな」
「ねぇ。さっきのアリスの言葉…。モンセラーテ…だっけ?行ったことあるの?」
「え?」
「願いが叶うっていう泉、見てみないなー」
あたしが言うと、匠はクスッと笑った。
「瑠生を連れて行きたいってとこが、そこだよ。俺は幼い時に一度だけ家族で行ったことがあるんだ。景色がいい、とは言っても、内戦もよく起こってたから、町は灰色だった…」
匠が言うと、あたしは匠の胸に寄り添った。
「歩けるようになったら、匠とこの街を回りたい。とりあえずこんなご飯まずくて薬くっさいとこから、脱出したいわ」
あたしが言うと、匠はあたしを両手でぐっと抱きしめてくれた。
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