第8章 モンセラーテで抱きしめて

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「お前の勘も、たまに当たるから侮れない。その画像の人物の体格とか、よく目に焼き付けておけよ」 匠はそう言って立ち上がると、あたしはハッとして匠の腕を掴んだ。 「もう行くの??」 「うん?…あぁ。少し、寝ろ」 キョトンとして匠が答えると、あたしはなんだか寂しくなって頬を膨らませた。 「もう少しいてよ。あたしも狙撃されるかもよ」 意味不明な脅しをしてみた。匠はクスッと含笑いになってあたしの頬を右手だけで覆った。 「いきなりお前を撃ち殺すことはないよ。万が一撃たれても、ここは病院だから、今度こそすぐに手術できるから、安心安心」 「もうちょっと危機感もって心配してくれてもいいんじゃない?」 「お前なぁ、系斗にも言われたろ?今の自分の置かれてる環境を把握しろって」
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