第9章 3人の瑠生と2人の匠

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* 「で、こういうロープで手首とか縛られても…」 匠が説明しているそばで、あたしはきつく縛られた手首のロープをスルスルと外してみせると、カイと彩乃は驚いてあたしを見つめた。 「すごい!なんでそんなに簡単に外せるの??知らなかった…あ、でも、そういえば、高校の部活、マジック部だったよね。マイナーな部活やってるなーって思ってたけど、それが役に立ってるのね」 彩乃が興奮してそう言うと、あたしは大きく頷いた。 「たまたま縄抜けの練習してるのを見て、それだけは覚えたくて入ったんだ」 「今更だけど、納得したわ」 「知らない方がよかったよ。少しは大人しく待っててくれるだろうし」 匠がまだムッとした口調で言うと、あたしはプイッと知らんぷりした。
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