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「でもさ、体ごと巻かれたら無理だよね?」
彩乃が尋ねると、あたしはニコッとほほ笑み、
「ロープさえ緩まればなんとかできる。ロープって少し太いから、結った端が長いと特にやりやすいのよ。でも、変態みたいな縛り方は、さすがに無理よ。1人じゃ無理」
と言って苦笑いになると、カイはまたニヤニヤと笑った。
「誰にそんなの、やられたんだ?」
「そんなの1人しかいないでしょ」
あたしとカイが同時に匠を見ると、匠はゴボッとわざとらしく咳をしてごまかした。
匠しか、いないでしょ?
と、多分みんな同意見。
「お前、すげえ縛り方しそうだもんな」
とカイの意味不明な勝手な妄想に、匠はギロリとカイを睨んだ。
「手錠は鍵がないとダメだよね」
彩乃が興味津々で尋ねると、あたしはまた微笑んで頭を横に振った。
「手っ取り早いのは、親指折るのがいいみたいよ。でもあたしは、やだ。痛いし。常に体のあちこちにピンとかハリガネとか、細いものを隠しておくことだね。それさえあればなんとかなるのよ。あたしだって靴とか腕時計とか、髪ドメとか、ブレスレットとか、少しでも隠せるところに何かしら隠してる」
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