第9章 3人の瑠生と2人の匠

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「さすがカルテロを壊滅させた男だ。何度も暗殺しようとしたのに、全て失敗している。匠が存在する限り、我々はトップにはなれない。世界の頂点に立ち、誰もが蹴落そうとしても、絶対に蹴落とされたりしない。誰もがその首を打ち取ろうとしても、1つも傷つけることも出来ず返り討ちにあってしまう。それが、匠だ。…だが、頂点に立つ匠にも、最大の弱点があった」 男が言うと、系斗はギクッとして、組んだ手をギュッと握りしめた。 「パートナーの瑠生だ。瑠生が絡むと、さすがの匠も、冷静な判断さえできなくなる、ただの一人の男になってしまう。情けないな。カルテロもそのことに気づいて瑠生を誘拐した。そうだろう?でも、その瑠生もかなり強い。その存在が強すぎて、危険だ。その存在を取り除かなければ、匠の強さがブレてしまう。そう考えるようになって、改めて思い直した。匠を消すことが不可能ならば、手に入れればいいんだ…と。匠を、我々の組織に取り入れて、幹部になってもらえばいいんだ。前は匠を消すためだけに瑠生を狙っていたが、今は匠を手に入れるために、瑠生を抹殺する。それが我々の目的になったんだ」
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