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系斗がそう言うと、あたしはまた涙が溢れてきて匠の胸に顔を埋めた。
「瑠生?」
怖かった。首を絞められたのは、初めてだった。銃で撃たれたり、鞭で打たれたり、ナイフで刺されたり、溺れたり…危険な目にはたくさんあってきたけど、首を絞められたことはなかった。死ぬって初めて思った。怖かった。苦しかった…。走馬灯が、一瞬よぎったんだ。
匠に初めて会った時。
初めて動物園に連れてってくれた時。
ハーレムで別れた時。
日本で再会した時。
初めてキスした横浜の夜。
いろんなことがフラッシュバックした…。
でもね。
まだ、思い出になんかしたくなかった。
匠より先に死にたくない。
いろんなことを思ったら、死ぬことが初めて怖いって思ったの。
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