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匠がそう言うと、カイは辺りを見回して、
「で、瑠生はどうした?」
と尋ねると、匠は顎で向こうの車を差し、
「泣きじゃくって、泣き疲れて…寝た」
と言うと、カイも驚いていた。匠は少し切なくなって、
「首を絞められたのは、たぶん、初めてだったんだ。苦しかったんだろう。死ぬ寸前だったんだろうな」
と言うと、系斗も何も言えなくなった。
「首絞められたこと以外はほとんどあるんだろ?驚異的な経験だよな。俺たちみたいに軍にいたり殺し屋だったりするわけでもないのに。しかも、拉致された回数はギネス記録に挑戦したほうがいいぞ。ここまでくると、プロだね」
カイが肩をすくめながら言うと、匠と系斗は同時にギロリとカイを睨みつけた。カイはそんな2人を見てため息をつくと、
「…まぁ、ここは任せろ。……系斗。手伝ってくれるか?それが終われば、俺もアメリカに戻る。…戻れるのか?それとも捕まえるか?」
カイが尋ねると、系斗はそんなカイを見て、
「大丈夫ですよ。なんとかします。私だって、捕まってもおかしくないくらいですけどね。なんだかんだで、私たちはアメリカという国に、生かされてるんですね」
と言うと、3人は顔を見合わせて少し、笑った。
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