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いつもの激しさより、今夜の匠は常に、紳士的だった。こんなに優しく抱いてくれたのは、初めてかもしれない。
欲望のままでもなく、楽しみながらでもなく、とことん優しくキスしてくれて、優しい愛撫で絶頂へと導いてくれる。
だから、早くあの苦しみは忘れよう。
二度とあんな目に合わないようにしよう。
コロンビアに来て、あたしは少し、生きるってことを学んだのかな。
匠が幼い頃を過ごしたコロンビア。
平和になったはずの国の陰に見え隠れする闇。
闇の組織の陰謀は少しずつ形を変えていく。
それでも、あたしたちは生きていくんだ。何度命を狙われても、あたしは1人じゃない。
愛する人がいる。
愛してくれる人が、いる。
だから、あたしはそんな運命に負けずに、生きて行こう。
あたしと匠は、夜が更けるまで何度もなんども愛し合って、抱き合っていた。
それが、コロンビア、最後の夜。
きっと、これが、最後の夜…。
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