エピローグ 一年越しの『愛してる』

3/12
126人が本棚に入れています
本棚に追加
/282ページ
そう。あたしは髭が好き。 匠のちょび髭が、好き。キスする時に、鼻の下にチクチク当たる。それがまた、心地よい。そして、顎にも髭を残すように言ってるから、あたしの要望通り顎に少しの髭を残してくれている。 コロンビアから帰ってきてから、匠に変わったところはない。 けど。 優しくなった、かな? いや、分からない…。 それと、今でもまだ、どこかで狙われてるような気がする。匠は、自宅以外では気を張り詰めてるし。 それは、きっとこの先も続くんだと思う。 夜、一緒に寝ている時も、よくうなされている。大量の汗をかいて、さけび声さえ上げずに、声を殺して苦しんでいる。 その度、あたしは匠をきつく抱きしめてあげる。そうすると、匠はハッと目を覚ましてあたしをギュッと抱きしめるんだ。そして、気持ちを落ち着かせようとキスをして、そのまま、匠はあたしを抱く…。
/282ページ

最初のコメントを投稿しよう!