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あたしがそう言うと、匠は驚いてあたしを見つめた。
「匠、今まで何人もの人を亡くしてきた?その度、心を置き去りにされて、寂しかったよね。あたしは、匠にそんな思いを2度としてほしくないの。だから、あたしが匠の最後を看取る。匠より先に絶対に死んだりしないわ。どう?」
あたしはそう言って匠の頬にキスをすると、匠の瞳に涙が滲んだ。
「瑠生。馬鹿な女だな」
そう言いながら、匠はあたしの背中に腕を回して抱き起こすと、あたしは匠の肩に抱きついて自分から唇を重ねた。
匠は何度も何度も、あたしを抱いた。
喜んでくれたのか、怒ったのかは分からない。でも、…その時の匠の涙を、絶対に忘れない。
何があっても、あたしは生きなきゃ。そう、強く思ったんだ。
あの時、殺されそうになったあたしのこと、朝まで優しく抱いてくれた匠。あたしはそれで立ち直れたけど、今度は匠が怯えるようになったね。…ごめんね。あたし、甘えすぎたよ…。
これからは、あたしも匠を守ってあげるわ…!
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