エピローグ 一年越しの『愛してる』

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あたしは、匠と系斗がそばにいてくれることが嬉しくてたまらなかった。 でも、系斗は元犯罪者。アメリカに雇われている情報提供者に過ぎない。いや、今は状況は変わっているのかもしれない。CIAの工作員だったり、中国とも関連があるかなり重要な立場にもなってるみたいだけど…詳しいことは、あたしには分からない。でもハワイに来るのは、いつも期限付きだ。何処かで監視されているらしい。 それでも、系斗はあたしにとって匠と同じくらい大切な人。どちらかなんて、選びたくないくらい。 彩乃が系斗を好きなのかはまだ分からないけれど…。 でも、その系斗にアロハシャツを着させられたのは、確かに彩乃だけだ。 系斗の気持ちが、和らいできてるのかもね。 * 「私はまたニューヨークに戻ります。ここで暮らすわけにはいきません。国に雇われてるので。でも…ここにいたい…と思いましたよ。その気持ちは、嘘ではないです」 系斗は、匠の携帯にメールを送った。その内容を読んで、切なくなった。が、それが系斗の生き方だ。 それは、誰にも止められない。
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