第1章 戦火の中の恋人

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「匠さんのことは、生きてるのかどうかは私にも本当はわからないの。死んだという情報は入ってきたけど、遺体もないし墓もない。香港での仕事は無事に終わる予定だったのに、最後に選挙の直後、会見の会場が爆破されて、何人もの焦げた遺体が見つかった。そこに匠さんもいた、という情報はあったの。ただ、へんな話だけど、匠さんほどの人なら死んだという情報が飛び交った方が、あなたは狙われる可能性は弱くなるの。だから、あえて否定せず噂をそのままにしていたのよ。ニューヨークの系斗も、そのことに関しては否定も肯定もしなくて…。誰かが、匠さんの身柄を案じて、国外に連れ出したのかもしれないわ。瑠生。…本当にそのコロンビアに行く気?」
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