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ややあって
体を起こした先生は、
「今日は若君の書も
見て差し上げるお約束ですので――
これで失礼致します」
ゆっくりと体を起こし
居を正すと、
音もたてずに筆を仕舞い始める
私も慌てて体を起こし、
それにならった……
「来週、同じ時間にまた来ます」
すっかり元のように
戻った先生は、
いつも通りの挨拶を下さると
うやうやしく頭を垂れた。
――私の方がずっと年下なのに、
身分が違うというだけで
私たちは同じ世界には
生きられない定め……。
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