第1話  花の告白

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ややあって 体を起こした先生は、 「今日は若君の書も 見て差し上げるお約束ですので―― これで失礼致します」 ゆっくりと体を起こし  居を正すと、 音もたてずに筆を仕舞い始める 私も慌てて体を起こし、 それにならった…… 「来週、同じ時間にまた来ます」 すっかり元のように 戻った先生は、 いつも通りの挨拶を下さると うやうやしく頭を垂れた。 ――私の方がずっと年下なのに、 身分が違うというだけで 私たちは同じ世界には 生きられない定め……。
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