最終話

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静かに話し終えた殿は、 片膝を崩して目を伏せた 「との……」 「それになあ、 お鈴がお前に会いたいというて 寂しがるので困っておる。 今年こそは皆で 名前色の錦を着るのじゃと頑張るので、 なあ、あやつのためにも、 帰ってきてやってはくれぬか」 「まあ、お鈴様が……」 「あれは案外と照れ屋だから」 「知っています」 即座に答えると、 そうか、といって殿は高らかに笑った 曇天をみんな追い払ってくれるような、 太陽の笑みだった
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