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殿がご政務にて
三月(みつき)ほど城を空けられた間に、
利光様の激情に
無理矢理に奪われたお鈴様は、
それはそれは可哀想にございました……。
殿を裏切ってしまったと、
ご自分をひどくお責めになったお鈴様は、
今度こそ鳴神川に身を投げるのだと、
私の胸で泣いたのです。
私は必死になだめました……。
それから私は、
張り手のひとつも
利光様に付けてやろうと、
彼の室に参りました。
でも既に殿の手によって、
ぼろぼろに制裁を受けた後にございました。
それがさすがに
気の毒になるほどの有り様だったので、
私は張り手の代わりに、
腫れ上がった頬を冷やすのを
手伝ったものです……。
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