第1話  花の告白

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でも――… ぽつり ぽつり 半紙に灰色のシミが広がる 先生が驚いた顔で 私を覗き込む 「姫……?」 筆を置いて 泣く私をじっと見つめる、 沈香色の瞳 「姫、」 「――父が」 襟元をぎゅっと抑えて 絞り出すように 言葉を紡ぐ 「父が私を、坂州の殿の元に嫁がせると――」 怪訝そうな先生の表情が わずかに歪んだ
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