3、修介

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「帰省中ごめんね~っ」  イライラするほど呑気な涼香の声。 「いーよ。で? 何?」 「え? いや。えっと。……久し振りの実家、どうかなと思って」  特に用事はないらしい。  面倒臭いことこの上なく、それどころでない状況も俺を後押しして、適当にはぐらかして電話を切ろうと口を開けかける。  しかし。  考えてみたら、何で誤魔化す必要があるのかと、沸々と腹が立ってきた。  悪いことなど何もしていない。俺が嘘を吐かねばならぬ状況など欠片もないのだ。  それに、その証人を増やす意味でも、涼香に状況を説明しておくことはとても重要に思えた。  葛城同様に逐一説明した結果。 「ばっかじゃないのッ! 早く警察届けなよッ!」  耳元で大音量を炸裂されてしまった。  涼香は同級生の俺に対して遠慮などないし、元々強烈に気が強い。葛城の反応がアレだった以上予想できた流れだった筈だ。  今更ビビっている自分が情けない。 「これから連絡するんだよ……」  『これから勉強しようと思ってた』的な小学生レベルの言い訳だと自覚しつつ、その程度のセリフしか出てこない。  更に輪を掛けてギャンギャン喚く涼香に辟易し始めたところで、車の中で動く影に気が付いた。  通話を切りながら運転席に戻る。
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