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「だれかぁっっ」と、聞こえた気がした。
外からの声だ。
俺はちょうど顔を洗った直後で、Tシャツを着ていなかった。
結構な緊迫感を放つ口調が気になりつつも、何だ?と思うに留まっていた俺の目の前で。
ベランダの向こう側を、女の子が、落ちていった。
恐ろしく歪んだ表情に張り付いた目は、しっかり此方を向いていて、その視線が、俺と重なった。
その一瞬、時が止まって。
俺と、見つめ合って。
落ちていった。
「助けて」と言っていたな、と気がついたのは、その後だった。
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