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「ねぇ、マネージャー。眼鏡知らない?」
スタジオでの撮影が終わり楽屋に戻ってきた麻里音は、机の上に出しっぱなしにしていたはずの眼鏡がなくなっていることに気が付いた。
「いや知らないけど。鞄にしまったんじゃないのか?」
鞄の中を探るが出てこない。
「ない」
麻里音は目が悪かった。撮影時は眼鏡を外してコンタクトにしているが、あまり相性が良くない為、普段の生活は眼鏡に頼っている。
「どうしよう。眼鏡がないとほとんど見えないのに」
目が痛くなってきたのでコンタクトを外し、麻里音は楽屋で途方にくれた。
「そういえば、最近楽屋荒しが出るって聞いてたな。眼鏡以外は大丈夫か?」
マネージャーの言葉に麻里音は慌てて鞄を確かめる。
「大丈夫みたい。財布も中身もあるよ。他も特になくなっている物もないみたい」
「変な楽屋荒しだな。眼鏡だけ盗むなんて。とりあえず、眼鏡を借りてきてやるから待ってろ。あと楽屋荒しが出た報告もしてくる」
「うん、お願い」
「そうそう、最近の楽屋荒しは刃物も持ってるらしいから気を付けろよ。俺が戻ってくるまで鍵を閉めとけ」
「了解」
マネージャーが楽屋を出ていき、麻里音は扉に鍵をかけた。
一人になり楽屋が静まり返る。マネージャーがいた時は気にならなかった物音が、やたらと気になり出した。
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