いえない

7/8
前へ
/8ページ
次へ
「とにかくさ~イチャつくのは勝手だけど、オレのいないときにしてよね?オレだけノケモノって寂しいんだからさ。あ、ゲームやってたのか?あとで対戦しような!今日は負けないからなー」  いうだけいって、淳平は背を向けてゲームのコントローラーを操りはじめる。  なんというか、天然キャラは、恐い。 「・・・・あの、さ」  やっとの思いで絞り出した声は、自分でも驚くほどか細い声で。  ゲームに熱中している淳平には訊こえなくても、真吾には届いたみたいで。  眼があうと、頭を掻きながら、真吾は照れたように苦笑した。  その顔を見て、嘘じゃないんだ、って確信した。  そのくらい自分にだってわかるよ。  だてに何年も片想いしてきたわけじゃない。  だから、俺もだ、という意味を込めて微笑んだ。  わかるだろう?おまえだって。  やっぱりそれは通じたみたいで。  ちょっと眼を見開いたあと、真吾はうれしそうに笑った。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加