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設楽は今年から主格戦闘員に昇進していた。
URARA軍レジスタンスには階級が4段階あり、トップに君臨するのが、総隊長の真田幸影(さなだゆきかげ)であり、真田家は福井国がまだ国として成立していない時代からの有力者であったが、独裁国家として福井国が誕生してから平和な福井国を取り返そうと代々URARAの皆を主導してきた。
総隊長には側近の副務長である尾長(おなが)副務官がおり、その下には特級戦闘員がいるが、特級戦闘員は極限られた戦闘員のみで構成されており、その下に位置する主格戦闘員から人並み外れた実力者のみが選ばれる。現在の特級戦闘員は三名であり、コードネームを山中、木ノ芽、栃ノ木としていた。
設楽にとっても特級戦闘員は憧れの存在であると同時に、産まれて直ぐに親から捨てられた設楽にとって育ての親でもある山中にはあらゆるシゴキで教育させられていたので恐ろしくもあった。現在特級戦闘員は潜入任務の為基地を不在にしていた。主格戦闘員の下には普通戦闘員がいるが、あまり階級差は無く現場経験の長い主格戦闘員2名に対し普通戦闘員2名で部隊は構成されている。
指令室に到着すると、10の班からなる部隊の主格戦闘員が集まっており、設楽以外は既に到着していた。
「遅いぞ設楽!」
尾長副務官の激が飛んだのは言うまでもなく、その場にいた全員が張り詰めた空気の中にいた。
「現時刻15:40、特認戦闘配備を行う。主格戦闘員は各班に別れ直ちに福井国軍の迎撃に向かう。尚、最重要任務とし、一班二班は真田隊長が率いる。今回捕らえている他国工作員を死守!尚、敵軍に知られた以上現時点を持ってこの基地は放棄する。しかし、これだけは言っておく!我々はヘビだ!頭を守ればURARAは生き残る!決して諦めるな!再開の地はネームO!そこで皆を待つ。全員心してかかれ!誓いは日ノ本に命を捧げよ!」
尾長副務官の号令の元、全班は直ちに散開した。
幸いにも二班に所属している設楽は護衛任務に付けたが、その他の班は切り捨てであると理解する者も多くなかった。
「死ぬなよ。皆。」
設楽は自分にも言い聞かせるように他の班を見送り、普通戦闘員と合流しながら真田隊長指示のもと拘束中の他国工作員の元へと向かった。
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