海を見に行く

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ファソラシドレミファソ~♪ 泉岳寺から浮上し、まるで歌っているかのように、赤い京急電車は品川を出発した。 朝早くだからか、それとも運がいいのか、まるで旅行列車の旅のような座席の窓側に座れた。 ビルの隙間から見える朝日が眩しい。 「海の近くに引越したから、ゴールデンウィークにあそびにおいでよ!」 元同僚の彼に誘われたのは先週のことだ。 彼は小さな頃に父親を亡くしていたのだが、一年ほど前、急に母親も亡くなり、親戚一同にもみくちゃにされたのをきっかけに仕事を辞め、憧れだった、という湘南エリアの物件を探し、東京を飛び出して逗子へ引越したのだ。 友人たちは皆、仕事かデート…ゴールデンウィークの予定が何もないなんて!と嘆いていた矢先だったので「行く!」と即答した。 職場で仲良くしていたグループの何人かも誘ったが皆に見事に断られ、わたしだけで行くことになった。 彼と二人きりになるのは初めてだ。 今まで彼のことを男性として意識したことはなかったのだが、まるでデートみたいだ…少しドキドキした。
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