伊織のこと

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オランダ人の高身長遺伝形質を継ぐ伊織の背丈は、190㎝超! 何処に居ても目立っちゃう。 いくら27歳ヨレヨレのおっさんとはいえ、 近所のご婦人方にはすこぶる人気で、 伊織宛の差し入れは後を絶たない。 こないだなんて、 伊織とパパが連日の泊まり込みだったンで、 大学まで2人の着替えを持ってったら、 伊織のヤツ、 大勢の女子学生に囲まれて、楽しそうに手作り弁当なんか食ってやがった(#`皿´) 「…生徒達の折角の気遣いを無碍にしちゃ悪いじゃないか(笑)」 伊織はそう言うけど、 なるべく恋愛の芽は摘んでおかないと…。 「これからは僕がお弁当作るから、他人(ひと)が作ったものなんか食べないで。 女の子と外食ランチなんて許さないよ!」 「また俺の婚期が遅れるなァ‥」 「ヤッパし‥下心あるんじゃんっ!」 「違うよ‥凜… 凜のお弁当が楽しみ過ぎて、ボク‥お婿に行きたくなくなっちゃ~う‥‥♪」 む‥ムムム‥‥ サラッとこれだから伊織は油断ならない。 「りんくぅ~ん‥コーヒー頂戴‥」 寝坊助め‥‥、やっとこさシャワー終えて出てきた。 「伊織さぁ‥‥今夜も遅いの?」 「ゥン? ‥ああ…、暁さんの代わりにゼミのレポートに目を通さないと…。 ナニ?夕飯なら俺の分はいらないよ‥」 「…フゥ‥世間は海だ山だと浮かれてるっていうのに…。この家の中はてんで静かだ。 ひとりの夕御飯はつまんないよ…。 …お祖父様はカナダの森林視察で来月迄留守だし、パパは講演ツアー‥‥ この家には僕ひとりぼっち…」 伊織は僕の頭を手繰り寄せ、おでこにキスした。 「ゴメン‥‥折角の夏休みに構ってあげられなくて‥。 寂しいなら家に友達でも呼んだら?」 「友達なら学校が始まればいくらでも会えるじゃん! 僕は伊織と夕飯食べたいだけ! ‥‥折角めんどいお祖父様もいないのに… たまにはゆっくり伊織と話がしたいよ‥‥‥ モンハンのレアアイテムだって随分集まったんだぜ‥」 「凛‥‥キミはどんだけ僕に夢中なの…可愛過ぎてオレ‥泣いちゃう‥-chu♪ …でもネ、夏は青少年にとって冒険のチャンスなんだ☆ 仲間達と海へでも出掛けて、 ひと夏のアバンチュールに溺れてみるってのも、美しい青春の1ページだと思わないか!? キミほどの美少年なら、付き合いたいって女の子はいくらでもいるんじゃないかなァ♪」 「そ‥そそそそそ‥! そンなの‥ふ‥不潔だよっ!!!」 「ぶわッハハハハハハハハハ!純情~☆ 凜ちゃん、マジかわぅいぃぃ~♪ う゛おっ!! ヤベッ!!こんな時間っっ!」 「伊織のバーーーカッ!!!」 ホント…伊織はバカだ! 人の気も知らないで…。 ‥‥‥‥? …ってか そんなイカガワシイ青春の思い出が‥ 伊織には、 あるんだろーか・・・・
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