避暑地へ行こう!

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避暑地へ行こう!

『あ、もしもし‥凛? オレオレ!天宮☆ 実はね、兄貴のテニスサークルが夏合宿する予定だった小諸のコテージがさぁ‥ なんか手違いでダブっちゃったんだってぇ。 もうキャンセル出来ないらしくて、タダで使わせてやるって言うンだけど、どお? あ、飯代とか交通費は実費負担ね~☆』 幼なじみの天宮が、思いがけないバカンスを提案してきた。 「う~ン‥‥悪くナイけどぉ…今、うちは家政婦さんが夏休みだし‥伊織の身の回りのこととか面倒みてやんないと‥」 『ああ☆伊織さんか!なら超ラッキーっ♪ 俺ら未成年じゃん!?必ず保護者同伴だって。 俺ンちの親に行かすつもりだったけど、親が一緒なんてつまんなくね? なっ! 伊織さんに引率頼めない?』 「ええ~っ!伊織にィ!? ‥‥他は誰に声掛けてんの?」 『凛が一等最初だろ‥あと辻、千葉、桃井とか誘ってみようかと‥』 「なんだ、部活メンバーじゃんか」 『だなっ!(笑) なァ…だからサァ‥頼むっ!! お願いしてみてよ~ン♪ 豪徳寺凛くぅぅぅ~ん‥』 「…そーだなー‥‥一応訊いてみるけど、 あんま期待はしないで…」 忙しい伊織がいい返事をくれるとは思えなかった。 その日の夕方、僕が取り込んだ洗濯物にせっせとアイロンがけをしていたところ、ガレージに車の入る音が聞こえた。 チャイムが鳴りドアホンモニターを覗くと、 山程の書類を抱えボサボサに結った髪の伊織がドアが開くのを待っていた。 「おっとっと‥凛‥コッチ持って…」 「遅くなるんじゃなかったの?どうしたってのサ‥」 「何も研究室でしかやれない仕事ばかりでもないからネ♪ ウチで出来るものは!片付けちゃおうと思って☆」 「なんで?‥わざわざ家で仕事?」 「愛しい凛ちゃんに僕の夏休みを捧げる為じゃないか~♪ もぉ~‥凛ちゃんがボクと一緒に居たいなんていじらしいことゆってくれちゃうから、 学部長に言って前倒しで夏休暇貰ってきちゃった♪」 「ウッソ!?☆まぢっ?!」 狂喜乱舞である☆ ワガママは言ってみるもんだ☆ モチロン、コテージの件は快諾! 本音をいえば、伊織と二人っきりで過ごしたかったけど、それはこの際ヨシとしよう。 なんたって伊織の方がこの話にノリノリだったくらいだもんね♪ その夜の僕は、もぅ、そりゃあ上機嫌で、 伊織の好きなチキン南蛮を山ほど作り、 デザートには伊織の大好物の桃のゼリー、 書斎にコーヒーを持ってって、 背中を流して差し上げて、 部屋にアロマを焚いて、 マッサージのサービス…と、 大・大・大奉仕だった☆☆☆☆☆
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