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大きな荷物を伊織の車に預け、
天宮他二年剣道部の4名は、高速バスで現地に向かうことになった。
「すみません、伊織さん。宜しくです!」
「ああ、任せて。君達も気をつけてね。
じゃあ、現地で!」
僕は助手席に乗り込んでシートベルトを装着。
「友達と一緒でなくていいの?
折角旅行気分を味わえるのに…」
「お気遣いなく‥ヤツ等まるでガキなんだもん、付き合いきれないよ」
「あはは、目クソ鼻クソ☆
凛にガキ呼ばわりされちゃしょうがないね(笑)」
「失敬だぞっ!
アイツ等は鼻クソでも僕は違うのっ!!」
違うんだよ‥伊織‥‥
だって僕はもう、
恋に焦がれるせつなさを知っている。
ゲームやプラモに熱中するより、
もっと神秘的で哲学的。
このメンバーの中で、僕は一番大人に近づいてるはずさ…。
インターチェンジまで窓の外の風景を眺めるフりをして、ガラスに写る伊織を見ていた。
「外の風の方が気持ち良いんじゃない?」
「うん‥」
ウィンドウを全開にしたら、乾いた風が突風のように吹き込んで、
伊織の纏め髪が解けてふわりと舞い、伊織は目を細めた。
「うおーっとぉ‥、開け過ぎ、開け過ぎ!」
「ゴメンゴメン‥‥ェヘヘッ…」
「何よ‥ニヤニヤして‥‥楽しい?」
「え!そ‥そお?
‥‥‥伊織ってさぁ‥キチンとすれば、わりかしイケメンなんだよねぇ~…」
「わりかしかァ‥‥髭剃ったからかな?」
「うん♪全然イイッ☆若返った(笑)
睫長いし、鼻がメッチャ綺麗☆
キン肉マンのワリにシュッとしてて‥‥」
「…アレ?
‥もうお終い?他に誉めるトコないの?」
「ちょっと誉めるとコレだから‥(*`ε´*)
‥それにこの髪…
お日様に当たるとキラキラして
ホント綺麗‥‥」
「凛は赤ん坊の時から俺の髪を好いてくれてたな‥‥一生角刈りにできないよ(笑)」
「角刈りはよして!
ロン毛似合ってるもん、
サラブレッドみたいで優雅だよ♪」
「ぉお‥なかなか言うねェ(笑)
惚れちゃう?」
「「えっ!?」」
「‥‥‥ば‥バカじゃん!?
男が男に惚れるかよっ!
それに従兄弟だしっ血が繋がってるしっ☆」
「そぉ?
俺はお祖父様や暁さんに惚れてるゾ?
どちらも尊敬してる、とても魅力的だ。
憧れてんだよなァ‥あの二人に‥‥
まったく性格は違うけど、ああいう渋い男でありたいもんだ。
其々に違った漢の色気がある。」
「違い過ぎるよ…
男のイロケ?キモッ‥ただの年寄りじゃん」
「同性に愛されることは、とても名誉なことだと思うよ。
信頼されてるってことなんだから」
「…解らなくはないよ☆
人としてってことでしょ?
伊織は前に叔母様にも愛してるってゆってたもん。
日本人にはちょっと‥『愛してる』はハードルが高いけど、僕だってそうだよ☆
なんだかんだいったって、家族を愛してるし
今日のメンバーもみんな大好き!
掛け替えのない大切な仲間だからね♪」
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