第一章 「うつ病の臨床心理士」

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 「誰か助けて!」 そんな叫びは、日本中にあふれている。 現代社会を悩みなくして、渡り歩くのなんて無理。 誰だってもがき苦しみながら、幸せを手に入れるため必死に頑張っている。誰のためにとか、社会のためとか、そういう言葉は綺麗ごとに過ぎない。自分のため以外に頑張る必要なんてない。  でも、私の母親は誰かのために頑張っていた。自分の身体なんてそっちのけで仕事をしていた。無理を続けた母親は、次第に生きる力を失い自殺した。    後々聞いた話だが、母親は重度のうつ病疾患をもっていたらしい。私は何一つそんな状況にあるということを知らなかった。こんなにも自分が不甲斐ないと思ったことはない。 何故、気づいてやれなかったんだろうと後悔した……。
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