第二章 「真実」

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「彼女はやはりだめでしたね」 白衣を着た女性が冷淡な口調で言った。 「まぁー臨床心理士のアンドロイド化計画なんて無理があった。心理サポートをする臨床心理士が自分自身の精神的管理が取れず、人格破綻者が続出したとなれば、国も何かしらの動きを取らなければならなかったのだろうけど、流石に今回の案はナンセンスだったな」 タバコを吸いながら、淡々と喋る男性。 意識が混濁する中、微かに二人の会話を耳に捉える。  自分自身がどうなってしまったのか全く理解できなかった。ベットの上で寝かせられているような感覚。それだけは、感じられた。  でも、体を動かすことも声を出すこともできない。唯一、視覚と聴覚は微かに感じることができる。 「ちょっと、研究室でタバコはやめてください」 「あ、すまない……。」 タバコの火を消す。 「でも、本当にこの案はバカバカしいよな。人が人の悩みを聞くからこそ良いものなのに、そこにアンドロイドを入れるなんて、そんな代役出来るはずないだろうに」 「教授なら出来るかなと私は思っていましたよ」 女性は微笑みながら言った。
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