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ACT.1 風頼城の若殿
「温泉だぁ♪」
琴乃は急いで着物を脱ぎ捨てた。
ちゃぽんっと小さな水音を立てて、足から湯に浸かる。
「気持ちいいぃ!」
肩まで浸かると、ピィッと口笛を吹く。
すると遠くから綺麗な青色の鳥が飛んで来た。
まだまだ小鳥のサスケは琴乃の白い肌色の肩にとまる。
「サスケぇ。ご苦労様だったね。餌いっぱいあるからね。」
サスケはピッと鳴くと、羽を羽ばたかせる。
「そっかぁ。嬉しいかぁ。」
琴乃が微笑むと琴乃はサスケの足に紙が結んであるのを見つけた。
「…手紙…?」
『琴乃殿。今回の任務ご苦労であった。報酬は後日使いの者に渡しておく。さて、次の任務なのだが、風頼城の若殿を暗殺してほしい。
奴は最近幕府に対して恩を仇で返すようなことをしようとしているのだ。できれば明日の夜。頼んだぞ。』
「恩を仇で返すようなことって…恩なんてあるのか…?」
琴乃は溜め息をつき、湯から上がる。
「明日ねぇ…」
荷袋の中から着物を取り出す。先程着ていた着物とは違い、普通の女の子が着るような可愛らしい着物だ。
「ま…やってみるかね。」
琴乃は荷袋を背負い、歩き出す。
(幕府の言うこと聞かないと…いつ殺されるか分かんないからね…もっとも殺されるわけないけどね。)
琴乃はニヤリとした。
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