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「じゃ、助けてくれるんだよね?」
既に早乙女は泣き声だ。
「ね? 助けてくれるんだよね!」
そう言って念を押す。なぜか早乙女は、その言葉にムキになっている。
「ああ! 助けるよ。ただし! おれのやり方でな。文句言うなよ!」
早乙女は静かに言った。
「分かった」
早乙女を置き去りにし、おれは一人階段を降り始めた。ついて来る足音は聞こえない。上を見ても降りて来る気配も無い。
あんなに弾むような足取りで、楽しげな顔でついてきていた早乙女の顔を思い出した。
ただ悲しかった。 おれの卑屈さにも。
「知るかよっ!」
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