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あれは小6の時…。クラスの女子数人が男子全員に義理チョコを配った日、おれは風邪で学校を休んでいた。翌日登校するとおれの分なんか誰も忘れていた…。
放課後、おれはいつまでも帰らず校庭の鉄棒で遊んでいた。
冗談? 見つかったよ? それとも…本命だから?
結局、誰も来なかった。
小学生の根拠の無い期待なんて、いつもそうだ。
「何してるの?」
突然、後ろから悠が現れ、おれの隣に並んで鉄棒を掴んだ。
悠にだけは本音を言えた。
「おれだけ、貰えなかった…」
暫くは悠も黙ってた。
「悠は、チョコとか作れないからなぁ…」
突然のその言葉におれは、
「なんで、お前なんかから貰うんだよっ! 気持ち悪いッ」
悠は笑ってた。
「でも、友チョコって、あるし?」
「それは女同士なッ」
そうは言ったけど、悠のあまりの屈託の無さに、
「じゃ…らい…来年。お前がくれるのかよ~?」と言ってから「うぇーッ。気持ち悪ぅ~、悠から~?」
二人して笑った。
「友チョコなっ」
「うん…分かったッ」
***
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