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あいつにも「ブツ」の意味は分かったようで慌てた顔をした。そういうところにも腹が立った。中学生にもなって! 何を優等生ぶってるんだよ!
おれたちは次第に疎遠になっていった。
そんな中、ゴールデンウィークへと突入した。
前半の三連休。一日学校を挟み。後半の三連休。金曜に学校へ行き、最後は土日を休んでゴールデンウィークが終了。
その頃には同じ班の友達も出来て、女子とも話をするようになった。
「参道のお祭りに行かないかー? 女子も行くから」石田に誘われ「おれも行く!」もちろん即答。おれだって、もう中学生だ。
あんな奴っ!
予定通りGW前半は同じ班の男女数人でお祭りに行った。おれ、石田、筧の三人は、ずっと女子たちと一緒だった。本当に楽しかった。
月曜日の学校を挟み、GW後半──。
おれは石田の誘いを断り、いつでも準備が出来るよう待っていた。早乙女待ちで家に居た理由は、GW前半に電話があったと聞いたからだ。
同じ班の仲間とお祭りに行ってたあの日、家に帰ると、女の子みたいな、か細い声の同級生らしき子から電話があったと親から聞かされた。
あいつだ!
間違いない。
「誰? 何か言ってた?」
おれが出かけて居ないことを告げると、名前は名乗らず丁寧な挨拶をして電話を切ったと聞かされた。
この時のおれは本当に男らしくなかった。馬鹿だった……。
「番号出るよね! 番号確かめて?」
嬉しさ半分、不安半分。家電(いえでん)のナンバーディスプレイに表示された番号履歴は、あいつの家電の番号だった。「早乙女さん家」親が登録した名前で残っていた。
ハッ! と息が詰まった。
今から考えると、何で折り返し電話をかけなかったんだろう。
おれが携帯を買って貰えたのは、つい最近だった。そんなこと知らないあいつは、わざわざ家電から家電へかけてきてたんだ。
電話があったその時間は、丁度、おれが新しいクラスメイトと参道でおちゃらけてハシャイでいた時だ。しかも、女子に喜んで貰おうと、おれは自虐ネタまで披露していた。
境内の階段を三段だけ登り、
「幼馴染みに見捨てられた哀しい男子に、新たな仲間が加わりました~! それは──お前らだー!」
そう言って、筧に向かってダイブしていた。
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