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教室を覗いていた筧とぶつかりそうになった。おれの八つ当たりだ。
筧は、慌てて通路を開け、おれが横を通り過ぎると、小走りに後ろから追いかけて来た。
「なぁー。チョコはどこ? お前、要らないんなら、俺が貰おうか?」
足早に廊下を突っ切るおれの真横に、筧はピッタリとくっついて付いて来ていた。
「うるっさい! チョコなんか知るかよ~! 教室に転がってるわ!」
こんな時に、他人のチョコレートの行方を気にする筧に、ムカムカきた。
「マジかよ。俺、貰いに行ってもいい? な? お前がくれるって言ったって、言って良い?」
こういう時だけ、猫撫声を出して!
「知るっかよ!」
階段に差し掛かる前に、筧の姿は消えていた。それにもムカついた。
後ろを振り返ると、筧はもう廊下の半分まで引き返していた。
「ったく! どいっつも、こいっつも!」
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