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私は怪しがる。大人のたしなみとして名刺を差し出すのは当然の所作と言えるだろうが、得てして善からぬ考えを持つ者はかような紙を差し出して
「安心出来る人だ」
などという先入観を持たせるに決まっている。
例え嘘でも本物のように振る舞う事など現代では横行しており、騙される人も少なくない。
【中国産なのにフランス産やハンガリー産の
フリを15年くらいしていた羽毛布団】
【オレオレと言って息子のフリをしたり】
【本物なのにそっくりさんのフリをしたり】
【打ち合わせのフリをした妄想作品だったり】
目の前に出された紙も、本物そっくりに造り上げた偽物に違いないだろう。しかし、私は寂しがり屋だ。久し振りにケータイに電話がかかって来たので出てしまい、買い物と仕事以外では数ヵ月振りに部屋から出てみようと思った。
寂しがり屋だが、人は信用しない。
例え久し振りに会う人間でも信用は出来ない。
もしかしたら、心の弱っている事を見透かしたらここぞとばかりに、よく解らない神の話をして新興宗教に無理矢理入れられたり、買いたくも無いような30万円の壺を「祟られる」などと言われ買わされたりするかもしれない。
私、心は弱ってませんからっ！
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