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目が覚めた私はすぐに縛られていることに気づく。
ガムテープがぐるぐるに巻かれた両手足。
口も当然塞がれている。
あたりは暗闇で何も見えない。
少し時間が経つと目が慣れて辺りの景色がぼんやりと確認できるようになる。
薄暗いその場所は牢屋のように格子で塞がれた小さな小部屋のようだ。
近くに人の気配がしない。
「誰もいないのか?」
私はこのような目に遭うのは初めてではない。
ある会社の重要なポストにつく権力と財力を併せ持つ、いわば成功者である。
こんな私を妬んだ低俗な輩に誘拐されたことがある。
奴らはバカ丸出しで計画も稚拙。
最近の小学生の方がよっぽど賢く見えるそんな屑どもだった。
もちろん計画は破綻し早々に警察に捕まった訳だが、今回は前回とは違う奴のようだ。
私がひとりになるわずかな隙をついて誘拐したのだろう(なぜかその時の記憶は全くないが)。
こういう奴らは金を渡せば案外簡単に解放してくれる。
そのあとは、私の権力をフル活用して誘拐犯を見つけ罪を悔い改めるような、非人道的な拷問にかければよい。
まずは犯人との交渉だな。
男は犯人が現れるのを待った。
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