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「だ、誰か助けて!」
それは思ってた以上に、とてもか細く情けないくらい弱々しい声だった。
だが、その直後、背後から手が伸びて来て口を塞がれた。
私は、背後から痴漢に身動きを封じられた格好になった。
どうしよう、どうしよう!
誰か、誰か!
本当に誰でもいいから、誰か助けて!
恐怖で身体は震え、心の中で叫ぶのが精一杯の抵抗だった。
だが……。
「シッ!静かに」
背後から耳元に囁かれたバリトンボイスに、心臓を鷲掴みされた気分になった。
口を押さえられていたが、唯一、自由に動かせた首を恐る恐る回すと、痴漢の男と目が合った。
その瞬間、全身に衝撃が走った。
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