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◇◇◇
今日の私は、30年近く生きてきた中で一番の出来上がりだ。
実際、今日に備えて、1年前からジムに通って身体を引き締め、半年前からはブライダルエステにも通って肌にだって磨きをかけた。
おかげで、憧れていたベアトップの純白ドレスから大きく覗く背中は白くて無駄な肉はないし、デコルテラインもキレイに出ている。
全ては、今日の結婚式と、何より愛しい彼の為だ。
だが、隣に座る彼は、もっともっと素敵だ。
ライトグレーのタキシードが似合うその姿をそっと見つめると、ふとこちらを向いて、優しく微笑んでくれた。
それだけでまた惚れ直してしまいそうだ。
そんな私達を見ていたのか、司会の女性がにこやかな笑みを浮かべながら、私達の馴れ初め紹介を読み上げ始めた。
「この瞬間も仲睦まじく見つめ合う新郎新婦様達ですが、お2人の馴れ初めは2年前。
なんと通勤電車の中だったそうです!
新婦様に一目惚れした新郎様が、その場で積極的にアプローチをされたのが、お2人の始まりだと伺っております」
私達の馴れ初めは、嘘ではないがかなり簡潔に話してある。
【完】
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