記憶の欠片

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 あれから来客があった。  礼緒菜もわかってたようで、戸惑いながらも接客していたが……  恋愛話でキャパオーバーになったのか、書斎に引きこもる彼女を2・3回見ることになる。  1回目は、テディベアを抱きしめるために。  このテディは、礼緒菜のバースデーテディで、葛城さんからのプレゼント。  でも、5年前のこの日は礼緒菜のバースデー前で、なかった筈の物。  2回目は、探し物をする礼緒菜を見ることに。  お互いに何も言わなかったけれど、何を探してるかは判ってた。栞(しおり)と聖書。これは、葛城さんの最期の命懸けのプレゼント。  4年前、交通事故に合った日の物。  ――完全に混ざってる。……明日のアメリカ出張、怖くて行かせられない。  アメリカは銃社会。  礼緒菜のトラウマは、下手したら命に関わりかねないから。  なぜなら、幼い頃に目の前で両親を射殺されて以来、『両親』『銃撃』で倒れるようになったからだ。  そんな彼女にSPが付いたのはつい最近の事。礼緒菜が狙われている事もあるが、某議員が交通事故死した、その第一発見者、でもある所為だ。 .
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