記憶の欠片

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「邪魔しないで! もう、私には要らないのよ!」  男2人に羽交い締めにされながら、弁護士グッズをそう言いながら更に捨てようとする礼緒菜。  改めてSPが付いた理由について認識させ、弁護士としての約束があることを話す。  約束した相手の名前を覚えていた礼緒菜。  記憶が混ざってるのを、礼緒菜自身が改めて認識したらしい。  礼緒菜にとっての『今の時間』は、まだ5年前のままなのだろうけれど。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  あれから色々話した。  ここ数年間の記憶が混ざっているようだ。  冷静になった礼緒菜と、みんなと談笑する。  夕食は、ファミリーレストラン。  礼緒菜との結婚するきっかけになった思い出をぽつぽつ話す。  礼緒菜にとって、衝撃的な内容に、思わず店を飛び出した礼緒菜は、店の駐車場から出てきた車にぶつかって転がる。  空手をしている所為か、咄嗟に受け身を取ったおかげで、外傷無し。  起き上がり、運転手に名刺を渡す礼緒菜。 「修理が必要なら、ここに連絡下さい。きちんとお支払いします」  ――おい、おいおい。セリフが逆だろう!  周りの戸惑いも何のその。マイペースに事を片付けた礼緒菜は、さっさとやって来た救急車に乗って病院へ。  車にぶつかったのが、幸か不幸か、記憶が元に戻ったのは、喜ばしい事だった。 .
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