記憶の欠片

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 どうやって帰ったのかわからない。  いつもなら、帰ってすぐにリビングの仏壇へお参りをするのだが、今日はしたくなかった。  今、礼緒菜の心を占めてるのは『葛城礼司』だけだから。  妬きもち、八つ当たり、そんな気分だった。  帰っても、何も考えずに動いていたかった。  なぜかチーズケーキを作って、冷蔵庫で冷やした。多分、此処で作る最後のケーキだからかも。  彼女の大好きなケーキだから、最後に。  ――あ……、でも一緒に食べれるとは限らないんだった。  今日、来客があることをすっかり忘れていた。  時計を見ると正午を少し過ぎたばかり。  キャンセルは、無理かな。1時の約束だし。  ――今度こそ、独りなんだ。  お昼は、カップヌードル。もう何も考えたくなかったから。
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