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そして、その裏側にはもう一つの住所と電話番号が追記してあった。
「その住所は? じいちゃんち?」
尋ねたとき、母さんは首をふった。そして急に真顔になっていった。
「この住所にお父さんが住んでいるから。万が一、災害なんかでこの家に帰ってこられないようなことになったら、のぞむはそこを頼って」
ごくん、と僕は唾をのみこんだ。
「父さん、そこに住んでいるの?」
母さんはゆっくりうなずくと、何か覚悟するような顔で言った。
「そう。のぞむが一人で電車に乗れるようになったら、父さんに会いに行ってもいいよ」
どことなくこわばった顔で、それでも微笑もうとしているようだった。
僕は今年四年生だ。先月で十歳になった。年が明けたら学校で「二分の一成人式」をやることになっている。
僕は半分大人になったんだ。
だから決めた。
会いに行こう、父さんに。
僕の半分をかたちづくる遺伝子を持っている人に。
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