輝く海

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交差点までくるとふたりは手前から地下鉄へと下りた。そのまま改札を抜けるふたりから遅れて私も中に入った。地下鉄独特のくぐもった空気に息苦しくなる。竹井さんの住所は知らない。まさかこのまま克己の部屋に……? ふたりは階段の手前で軽く会釈をすると別方向のホームに降りて行った。 なんだ。たまたま、か。 私は何もなかったかのように踵を返して地下から地上に戻った。地上に出てようやく息をしたような気分だった。 それからというもの、私は仕事でミスを連発した。ファックスの送り先を間違えたり、頼まれていた見積もりも計算ミスばかりしていた。大きなトラブルに発展することはなかったが、直属の上司からはお小言をいただいた。君らしくないね。自分でもそう思う。でもどうしてもあのふたりの姿が脳から出て行かないのだ。
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